奥山陽一のコラム

2013/10/12

虐待か?

 
虐待か?

東京から帰る飛行機は修学旅行帰りの名寄高校の生徒さん達と一緒だった。

騒がしい機内になるんだろうなあ・・・

それが全員寝てるのか?と思うくらい全くもって静かな機内。
礼儀正しく好感が持てました。



 

 

僕の隣にはマスクをし、おでこに冷えピタを貼った小学校に上がるか上がらないかくらいの男の子とその母親が座っていました。



後ろの席には旦那らしき人が座っています。



飛び立つ前に男の子が手にしていたサンドウィッチを一口。
更にもう一つ手に持った瞬間、母親が男の子の腕を拳で殴り、おい!何個食う気よ!

とサンドウィッチの箱を取り上げた。



男の子はただ無言のまま黙って座っている。



明らかに何かが違う。

 


仕事柄色んな親子を見ているが、明らかに親子の間の空気感が違うのだ。


今度は母親がシートの間から後ろの旦那に一言。

おい!お菓子! 旦那は無言でシートの間からお菓子を手渡す。

 

旦那に向かって おい!は無いだろう?

仮に旦那じゃなくとも 女性が発する言葉としては聞き苦しい限りだ。



CAが男の子を見て、大丈夫ですか?何か冷たいお飲み物でもお持ちしましょうか?と声を掛けると、母親がぶっきらぼうに、 たいしたもんじゃないからいらんわ。と断る。



何時もは離陸前から眠りに入る僕も気になって眠れない。


離陸後、男の子が足をブラブラとさせた瞬間、再び母親が太腿を拳で太もも殴った。



おい!足!



男の子は無言のまま真っ直ぐ姿勢良く座っているだけ。



大人だって長く座っていたらお尻が痛くなるし身体だって多少は動かしたりしたいじゃないか。ましてこんな小さな子が黙って気を付けをして座っている方がおかしな話だ。


母親は前のシートに片足を引っ掛けて大股開き。

耳にイヤホン。

漫画の本を開きながら子供から取り上げたサンドウィッチとお菓子を食べながら子供と会話の一言も無い。

30分くらいしてまた男の子が足をブラブラさせると、再び拳が飛んできた。

おい!何度言ったら解るんだ?足!

男の子は無言のまま足を止め、手を膝の上に置いて固まる。
これが何度か続いた。

母親を怒鳴り付けたくなった。
僕の目は母親を睨みつけていたと思う。
きっかけを作ろうと思うがきっかけが掴めないままだった。

空港に着くまでに一度も男の子の声を聞く事も親子の会話を聞く事も無かった。

普段の僕なら隣に子供が居ると話し掛けたりするけど声を掛けられる空気じゃない。

母親はジャージ姿、目を見ると冷たく人の気を感じない。
男の子は裸足で汚れたGパン姿で鼻の周りは鼻水が乾いて白くなっていた。

僕はずっと拳を握りしめていた。

何も出来ない自分に腹が立った。

通路を挟んだ隣の人もこの光景に気付いたのか何度も母親の顔を覗き込んで首を傾げていた。
きっと僕だけが何かを感じていたわけじゃないのだと思う。

帰り道、この親子の後を付けてやろうかとも考えた。
それくらい酷い状態だった。
帰ってからも頭から離れず、今も気になってしまう。
嫁にもこの事を話した。
男の子の将来を心配していた。

言葉を掛ける事すら出来なった自分が情け無い。

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