2012/11/19
涙、涙の披露宴
今年最後の婚礼ラッシュ
毎週のように前撮りや挙式当日の撮影に携わらせて頂いています。
土曜日に以前ブログにも記したお世話になっている美容師の先生の娘さんの挙式と披露宴が
無事に執り行われました。
挙式は旭川の護国神社。
静粛な雰囲気の中で先生は病院から何とか許可をもらい車椅子で参列していました。
笑い声が大きくいつも賑やかな先生だったのですが、車椅子姿で申し訳ないからと陰の方に下がろうとしているので、余計なお世話かもしれないけど娘さんの姿が見える位置までそっと車椅子を押しました。
こんな姿じゃ申し訳ないという先生に、娘を見守るのも親としての仕事です。
今日だけは見ていて欲しいと願う娘の気持ちを優先します。
それにタイヤを固定しちゃったからもう動きませんと笑いながら言うと、ほんとにもう!と言いながらも
、そっと小声で色々ありがとねと言って下さいました。
私の方がありがとうです。
無事に挙式を終え、披露宴会場に移動。
白をベースとした御洒落な会場に私の想像力が膨らむ。
こういうスペースが士別にもあったらなあ・・・
スタジオにこういうデザインでセットを組みたいなあ・・・
打ち合わせのタイムスケジュール表にはお母様が花嫁の手を取り入場と書かれている。
大丈夫なのだろうか?
会場にはまだ先生の姿は無かった。
身内と極近しい人だけの披露宴。
全員が会場に入り、一旦扉が閉じられた。
開始時刻から若干遅れて先生が車椅子で娘の横へ・・・・
「立たせて下さい」
会場係の人達も心配そうな顔で少し戸惑っている。
御主人が一言。
「歩けるところまでで良いので歩かせてやってください」
私も何かあれば飛び出しますという事で、普段より花道近くにカメラを構えるようにした。
最初の入場前に私が作ったプロフィールビデオが流れた。
新郎新婦の幼少からの写真を流すビデオに今回は私のイメージで好きに作らせてもらう事になっていたので前撮りの様子と先生が花嫁である娘の御支度をしている姿をビデオ撮りして編集させてもらった。
編集をしながら私自身も涙が溢れてきてしまい、納品の時には新郎新婦も涙して何度も再生をしながら見入っていた。
会場では司会者から前撮りの事、ウェルカムボードの製作者、ビデオの製作者として何度も士別のスタジオ夢物語の奥山さんが と私の事を紹介して下さり、きっと新郎新婦が私に気を遣ってくれてアナウンスしてくれたのだろうと、その気遣いに感謝の気持ちでいっぱいになった。
ビデオが流れ出すと、間もなくしてあちらこちらで涙を拭く姿が・・・・
新郎新婦のご両親や御身内だけではなく、美容室のスタッフや友人達も皆号泣していた。
ビデオが終わると同時に扉が開く。
周りの雰囲気とは別に、私も含め状況を知っている人達には緊張が走る。
ビデオの撮影にはスタッフの海彦を入れたのだけど、最初に説明をしておけば良かったのだが、
私の姿がビデオに入り込むので、私に必死に下がれと合図する。
お前が動け!! と言いたいがそうもいかない。
普段の撮影ではビデオに気を遣い画角に入り込まないように撮影するのだけど、今回は少し勝手が違う。
それを悟る事はまだまだ彼では無理な事かもしれない。
よっぽどイライラしていたのだろう、終いには横で撮影しながら私の肩に手を掛けて追い払おうと押し退けてきた。
流石にこれにはカチンときたがそれどころではない。
スポットライトに痩せた細い体が浮かび上がる。
精一杯の笑顔なのだろう、動かない口角の筋肉が震えながら動いていた。
花嫁の手をしっかりと握り締めて一歩、一歩・・・・
語らずして思いが伝わるとはこういう事なのだろう。
近頃涙腺が弱くてダメだ。
カメラを覗きながら涙が溢れそうになってしまった。
高砂の席に娘を送り届け大役を全うした先生に割れんばかりの拍手が起こる。
始まる直前の話ではその後直ぐに車椅子を用意するという話にもなっていて、私もサポートする予定だったけど、スタッフに合図して車椅子を停めた。
先生の後ろ姿をしっかりと新郎新婦の目に焼き付けてもらいたかった。
会場の隅に椅子をベット代わりに並べてパーテーションで仕切ったスペースが用意されていた。
祝杯の後に花嫁が衣装替えに一旦退場する場面で、先生が御主人に車椅子を押してもらい
ながらそっと娘の姿を見守るようにしながらお客様に解らないようにスーっと入っていった。
お着替えが終わる頃、先生がそっと通路に出ていった。
純白のドレス姿で御父様と入場。
その前に廊下で車椅子の先生を囲んで何枚かシャッターを切らせて頂いた。
御父様と腕を組んでの入場。
会場の中央で花婿としっかり握手を交わす姿が印象的だった。
宴も無事に進み、キャンドルサービスを経ていよいよ御両親への花束贈呈。
時折先生の様子を伺うと、横になりながら私に会場の様子を聞いてくる。
その度に 会場の楽しそうな様子を説明したり、カメラのモニター越しに撮影した
画像を見せたりした。
キャンドルサービスの前に覗くと先生の姉妹が一生懸命身体を摩っていた。
先生!もう少しです! 花束贈呈まであと20分! 頑張りましょう!!
小さく何度も頷いていた。
いよいよ御両親への花束贈呈。
どの御披露宴でも感動のシーン。
特に前撮りからずっと携わらせて頂いているお客様の披露宴では私も撮影しながら
ジーンとしてしまう。
花嫁が御両親に手紙を読み始めると会場のあちこちからすすり泣きが聞こえる。
お母さんの後ろ姿を見ながら私はお母さんと同じ道を歩く事を決めました。
でもまだまだ未熟な私に、母として、先生として、これからもっともっと色々な事を教えて下さい。
私もお母さんと一緒に病気と闘っていくから頑張ろうね・・・・・
絶対に泣かないと言って、終始笑顔を絶やさなかったお父さんも堪えきれずに・・・・
先生はその後お客様のお見送りまでしっかりと努めあげ、そのまま病院の方に戻られました。
帰り際に、御身内の方々から、前撮りの時に親子で写してもらった写真を毎日嬉しそうに眺めながら
この日を楽しみにしていたんですよ。
身内以上に色々と気遣い頂いて対応して下さったお陰で最後まで頑張る事が出来ました。
本当にありがとうございます。と言って頂いた。
写真をやってきて良かったと思える瞬間だった。
写真のちから・・・・
まだまだ写真を通してやれる事が沢山あるのかもしれない。
もっともっと自分を磨き高めていかなければ・・・・・
私は命を撮させて頂いているのだから・・・・
画像は態とに加工しています。