奥山陽一のコラム

2012/05/17

上海3

 

晴れて自由の身になりすがすがしい気分で目が覚めた。

上海の最終日

 

昨日の陳瑞元氏に刺激を受けたせいか七宝(チーフォエン)地区に行くのが楽しみでしょうがない。

ここは昔の中国そのままの姿を見ることが出来、エリアの中にはズラッと食べ歩き用の屋台が並んでいて地元中国の人達が集まる観光スポットでもあるが近年昔ながらの中国を見てみたいと言う外国人も多く訪れるようになり平日でも何処からこんなに人が湧き出てくるのかと言うくらいの人混みでごった返している。



 

 

陳瑞元氏の作品の中にも七宝で撮影された作品が多く含まれており、是非見てみたいと思っていたのだけど、人の多さと言葉には出来ないエネルギーを感じた。

 

今日は通訳のヤンヤンとガイドにミンミンが加わった。

 

 

街の入り口でタクシーを降りるがその時はたいして人が居ない感じで古い街並みをカメラに収めながらのんびりと歩いた。

七宝本屋.jpg

七宝自転車.jpg

七宝橋.jpg

 

 

しかし一旦街の中に入ってビックリ。

 

なんじゃこりゃ!!

 

まさかあの人混みの中を歩くわけじゃないよなあ・・・・

 

勿論歩きますよとヤンヤンは当たり前のような顔で歩き出す。

 

しっかりと鞄を身体の前側にぶら下げ、カメラをしっかりと握り締めて戦闘態勢。

 

 

群集の中に流れ込んだ。

 

七宝1.jpg

 

気温は30℃近く、それにくわえて人混みと熱気。

屋台からは威勢が良い掛け声が飛び交う。

言葉には出来ないエネルギーで溢れかえっている。

 

地元の人には食べ物天国と言われているらしく毎日がお祭りのような感じ。

これでも平日だから空いている方だとの事だ。

 

群集を掻き分けながら前に進む。

F君と二人で屋台で売られている商品を目にして唖然とした。

 

 

鳩の丸焼きが目に飛び込んできた。

 

何じゃこりゃ!!

 

鳩.JPG 

 

鳩の横にも色々と見た事の無い物が並んでいた。

質問しまくり状態。

 

だいの男二人が顔をしかめている横でヤンヤンとミンミンはニコニコしながらこれ美味しいですよと鳩の丸焼きを勧めてくる。

 

F君が 頼む!奥山さん何とか一口!ここは一発やるしかないべ!

 

何の罰ゲームだよ お前も食えよなあ!

さすがの俺でもこりゃあどうよ?って感じだぞ。

 

そういえば以前似たような丸焼きを食べたっけな。

よし食べてやろうじゃないの・・・・

 

うん!上手い!こりゃあなかなかだわ。

 

F君は何も無かったかのようにスタスタと逃げていった。

 

 

次に目に飛び込んできたのが竹筒の山。

聞いてみるとバナナとご飯を混ぜて竹の中に突っ込んで蒸し焼きにしているとの事。

これは全員一人一本ずつ食べてみることにしたが私は一口でギブアップ。

鳩の丸焼きの方がはるかに美味しかった。

 

竹バナナ.jpg 

竹バナナ2.jpg

 

一通り屋台通りを回り裏路地に目をやるとまたそこに違う雰囲気を感じ奥に入ってみた。

ドアも無いような家の中でおばあちゃんが食事をしていたり、奥のほうでチャイナ服をミシンで縫っている人がいたり・・・・

 

おばあちゃんに撮影をさせて欲しい頼むが照れくさそうに断られた。

 

土間と言うのか玄関と言うのかその場所に置いてある瓶についてヤンヤンが説明をしてくれた。

その瓶は昔はトイレに使われていて糞尿が溜まると決まった場所に捨てに行くのだそうだ。

その時にお婆ちゃんが家から出てきて今でもトイレが無いからその瓶を使っていると説明してくれた。

七宝ではまだ下水道の整備が全くされていない状態で今でも普通に糞尿捨て場に捨てられているそうでその話を聞くと複雑な心境になってしまった。

トイレ.jpg

 

 

貧富の差が激しいと聞いてはいたがまさか此処までとは思ってもいなかった。

しかしどうなんだろう?

日本は確かに恵まれている。

でも本当に豊かな国なのだろうか?

私は日本はちっとも豊かな国だとは思わない。

ただの便利な国なだけでその便利さゆえに大切なものを昭和の時代に置き忘れてしまっているのではないだろうか?

そんな気がしてならない。

 

そして此処に住む人達は本当に貧しくこの不便さに苦しんでいるのだろうか?

私の目からは決して苦しみには見えない。

人間の生きるべき力は便利とか不便とかそんなものはどうでも良いように感じてならない。

 

 

 

その後此処七宝で食事をするか外に出てレストランにでも入るかと言う話になるが私は迷わず七宝で食べることを選択した。

 

食堂らしきお店を何軒か覗くと面白いメニューの看板を目にした。

羊の肉。

 

屋台ではあちこちで羊の肉の串焼きが売られておりその串を食べながら歩いている人達が多い。

 

羊看板.jpg

羊串.jpg

羊子供.jpg

 

 

そして食堂にも羊の肉をメニューにしている中華のお店が沢山あった。

看板羊.jpg

 

 

もしかしたら士別でもいけるかもしれない・・・・

 

実際にお店で白切羊肉を食べてみた。

全く羊独特の癖が無くてこりゃあ美味い!

 

羊.JPG

 

ヤンヤンが作り方を知っているというので色々と教えてもらった。

これなら羊が苦手な人でも食べられると思う。

 

 

食事のあとは運河を一周してくれる屋形船というのだろうか観光用の手漕ぎの船に乗った。

のんびりとした中で風が心地よかった。

 

途中橋の上の外人さんに手を振ろうと全員が片側に身を乗り出そうとしたした瞬間、船がいきなり傾いて危なく転覆するところだった。

舵取りのおばさんもさすがに焦った様子で顔が引き攣っているのが解った。

ごめんなさいと謝って御行儀良くしながら運河を一周。

 

船の上から見る七宝の景色も最高でした。

船3.jpg 

船2.jpg

 

七宝巡りも無事に終了。

 

あとは最後に上海の夜景を見て上海の旅も終了。

夜景の時間までには時間があるので夜景スポットとなる公園のカフェで一休みする事に。

 

F君はビール。

私たちはアイスカフェオレ。

 

支払いは先払いとの事、値段を見てビックリ。

4500円

何かの間違えじゃないの??

 

さっきの食堂で腹いっぱい余すくらい料理が並び、ビールやジュースを飲んでも4人で1980円

その安さにもビックリしたけど、コーヒーで4500円にもビックリした。

 

話を聞くと、世界一の高さを誇るモリビルがあり、上海ヒルズと呼ばれているらしく、高速ビルが立ち並ぶ夜景スポットなのでどの店もかなり高い金額らしいのだ。

 

さっさと退散してモリビルに上る事にした。

 

 

一応ヤンヤンとミンミンは5時で契約が終了との事だったのでこの辺でお別れ。

ヤンヤンにカラオケに誘われるが翌日は4時半起床なのでお断りをした。

 

一応モリビルまで案内してもらいF君と二人でエレベーターを待つことに・・・・

 

そこでハプニング発生。

 

エレベーターの順番待ちをしていると急に腹痛が・・・・

 

とにかく最上階に上がるまで我慢しようと思っていたがどうも我慢できそうも無さそう。

係りの人にトイレの場所を訊ねるが上に行くまで無いとの事だった。

焦りまくりでジェスチャー攻撃。

 

係りの人もしょうがなさそうに先にエレベーターに乗せてくれた。

間一髪セーフ。

 

それにしてもここのエレベータは早い!

秒速10m近くのスピードで一気に415mの頂上まで上がっていく。

そこから更にエレベータを乗り継ぎ419mの頂上に到着。

 

通路の中央には下が見えるようになっているガラス張りのフロアー。

高所恐怖症の私にはかなりキツイ。

ビビリながらゆっくりと歩く。

まるで歩行訓練のようだ。

 

窓一面に広がる上海の夜景は圧巻だった。

恐る恐る窓際に近づき撮影をした。

このビルを作った人は凄いの一言だ。

この高さで作業をするなんて一体どういう神経をしているのか全く理解不能。

yakei.jpg

モリビルの最上階からの夜景をたっぷり堪能し最後に対岸側に移動して先程のカフェのある公園の方からも見てみる事にした。

昼間は全く気付かなかったが公園の周りの建物も全て度派手なネオンに包まれていて何処か違う国に来たかのような感覚になってしまった。

公園も夜景を見る人達で七宝のようにビッシリと人で溢れかえっていた。

 

夜景2.jpg

夜景3.jpg

夜景4.jpg

周りはカップルだらけ。

ここは別名カップル通りとも言われているらしく夜景をバックに愛を語り合う場所なのだそうだ。

 

なぜこんな素敵な場所にF君と二人なのだろうか・・・・・

上海に来て一番の疑問に思えた瞬間だった。

 

 

翌朝は5時半出発で4時半には強制的にモーニングコールが鳴るという事なので夜の街に繰り出すことも無く部屋に戻った。

 

それでもなかなか寝付くことが出来ずに結局一時間程度の睡眠でモーニングコールに叩き起こされながら無事に上海を後にする事が出来ました。

 

今回の旅では色んな事を感じたり考えさせられたり本当に学びの多い旅でした。

もう一度今度は上海から外に出て七宝のような街をじっくりと撮影しながら歩いてみたいと思います。

 

 

上海で出会った全ての人に感謝感謝です。

 

 

 

 

 

 

 

 

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