奥山陽一のコラム

2012/03/18

カメラマン冥利

 

卒園、入学シーズン真っ只中、うちでは毎年卒園と入学のパックをお勧めしているのだけど、始めてかれこれ数年が経ち、毎年少しづつ浸透してきているようで、今年はお陰様で1月末頃から衣装の見学や予約がありました。

 

卒園の撮影をされる方には卒園式当日の袴衣装、着付、ヘアメイク一式全てサービスで、早朝から着付のお子さん達で賑わっています。

 

 



 

 

まあ早朝から着付をするのはうちの店長一人なのですが、今年はバイトも見つからず全て一人でこなしてくれています。

 

着付を覚えたての頃は 1時間近く掛かっていた事もあるけど、今では自分でさっさと予約のお客様と時間の調整をし、ピークの時間帯にはお一人15分ほどで仕上げるまでになり、逆に私の方がそんなに予約を取って大丈夫なの?と心配になってしまうくらいですが涼しい顔で次から次へと着付けて卒園式に送り出しているようです。

 

この数日の夕方の店長の口癖が 「もう帰って良い?」 です。

そりゃあ一人で早朝7時頃から店を開けて着付をしてくれているんだから・・・・

 

私は全く聞こえないフリをして知らん顔・・・・鬼

 

 

 

そんな中、昨日は朝から卒園、入学、誕生、百日と続き、午後からは名寄~士別でブライダル撮影が入っていたので前日の夜から海彦も札幌から応援に来てもらいフル稼動。

 

いつもこの時期のブライダルはスタジオの予約も有るので、私は和装の挙式の時だけ集合写真を撮影して店に戻り、あとのスナップとビデオは全てスタッフに任せていますが、昨日は何となくお店の空気の流れから私がスタジオに残って居た方が良いと判断し、ちょっと不安もあるけれど店長と海彦の二人だけで集合写真、スナップ、ビデオを撮影に行かせてみました。

 

 

14時半からリハーサルとの事、13時半には二人が出掛けたのですが、勘が当たったのかその直後から飛び入りの撮影や証明写真の撮影、予約の電話、写真の受け取り等でバタバタと走り回っていました。

 

 

少し落ち着いた夕方、近所の幼稚園の園長さんから電話を頂き、卒園生と一緒に袴を着たので撮影をしたいとの事、準備をしながら色々とイメージを膨らませてお待ちしていました。

 

 

間もなくして園長先生と若い保育士さんの二人がやって来られましたが肝心の生徒さんが居ない様子・・・

 

 

あれ?

 

 

話をお聞きしたところ、教え子というのはこの保育士さんの事で、園長先生が初めて受け持った子が成長し、保育士となって卒園した幼稚園に戻ってきたのだそうです。

 

いつか自分の教えた子の中から一人でも良いから保育士さんになってくれる子が現れてくれたらというのが先生の夢だったようで、その夢が叶ったとの事でどうしても記念写真を残したくなったとの事、先生の話に感動しました。

 

普段幼稚園には他の写真屋が入っているのだけど、せっかく着付けた袴姿だからきちんとした写真を残したいという理由で来てくれたそうです。

 

 

凄く嬉しかった。

 

 

撮影中はほのぼのとした空気の中、終始笑いの絶えない雰囲気で撮影させて頂きました。

 

その後撮影した写真を選んで頂いている最中に、なんとその教え子の保育士さんが小学校に入学する時に私が撮影させて頂いたという事が発覚。

 

 

それも昔お世話になった方のお嬢さんでした。

 

すっかり変わってしまった雰囲気にビックリだったけど、その方のお嬢さんと聞いて当時の撮影をした時の様子が鮮明に蘇ってきました。

 

 

カチカチに緊張して今にも泣き出しそうで、最後まで表情が変わらなかった事を思い出し、その事を話すと、お母さんと一緒に来たかったのにお母さんが来れずにお父さんと二人だったのが嫌でしょうがなかったと本人も当時の事が記憶に残っているようで話が弾み、お父さんの話で盛り上がると大爆笑でした。

 

 

この数年成人式の撮影の時にも、入学式の時に写してもらったんだよとか、七五三の時に写してもらいましたというお客様が増えてきている。

 

 

本当にカメラマン冥利に尽きる。

 

 

しかし嬉しい反面、自分がそれだけ老いていっている事を実感する。

 

この頃お客様との会話でも、20年間増やしていくアルバムを撮影前に見せて頂きながら子供さんの成長を嬉しく感じつつ、お互いに年をとっていっている証拠だねと会話する事がやたらと多いような気がする・・・・

 

人間の死というものの覚悟はとっくに出来ているつもりだけど、だんだん命根性が・・・・

 

一日でも長くシャッターが押せますように・・・・

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

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