奥山陽一のコラム

2012/01/26

エンジンスターター 取り付け

 

今日はボルボにエンジンスターターを取り付けてもらう日。

 

士別着10時の予定がかなり早く着いてしまったらしく8時半。

 

今の現行のボルボやアウディー等はディーラーに問い合わせると大抵は後からは取り付けられないと断られる。

クソ寒い士別ではスターターが着いていないとかなり厳しい。

 

 

 

 

 



 

 

半分諦めていると、札幌にどんな外車にでもスターターやセキュリティーを取り付けるプロフェッショナルが居るという噂を聞いた。

 

普段はイニシャルトークだけど今日は名前を出させて頂く事にする。

会社の名前はストリームライン。

代表は佐藤さん。

 

佐藤さんは北は稚内から南は九州まで走り回っているらしい。

 

 

外車の電装関係では正直余り良い職人さんを知らない。

 

昨年の12月の初めに半信半疑で問い合わせてみると、今は大晦日も元旦も無いくらいに予約でビッチリで、毎晩夜中の3時、4時まで残業続きだという。

その後1月の中頃には仙台~東京のお客様のところを周り20日過ぎまでは帰って来れないとの事で、私も札幌まで持ち込むことはスケジュール的に無理なので、多少出張費は掛かるが身体が空き次第士別に出張をお願いした。

 

何度かメールをやり取りしながら打ち合わせしたが、一日で700キロ走る事もあるという。

私もタフだけど佐藤さんは化け物だ。

 

 

今日やっとお互いの時間が合ったのだけど、昨日は室蘭で仕事を済ませ、その足で旭川まで走ってきて深夜2時頃やっとホテルに入ったらしい。

  

 

昨夜から朝方に掛けての気温は最悪。

 

マイナス30度近くまで下がっていたらしい。

 

9時頃から早々に取り付け作業開始。

私も撮影の時間まで見学させてもらおうと思ったが寒くて寒くてガクガク震えが止まらない。

 

 

佐藤さんは今までにもかなり過酷な状況の中で作業をしてきているから大丈夫だと言う。

私は軍手を履いても手が痛いのに佐藤さんは素手で作業を始めた。

 

 

器用に内装をはがし、無数の配線を一本づつハンダで繋げていく。

 

 

私から見れば時限爆弾の処理でもしているように見える。

 

 

スゲー!

 

 

 

ボルボスターター.JPG

 

 

 

 

 

途中赤ちゃんの撮影をしてから再び戻ってみると大まかな作業が終わっていた。

キリが良いところで一緒に昼食を食べに行った。

 

全国各地を歩いているせいか話題豊富な人だ。

各地の食べ物の話や、仕事の話がポンポン出てくる。

 

 

佐藤さんは昔事故で車の下敷きになり、胸から下に大怪我を負ったそうだ。

 

食道が裂け、大腿骨が足の付け根から飛び出し、しばらく意識が戻らなかったそうで、途中2度の心配停止状態にまで陥った事があるらしい。

 

その後1年半程車椅子の生活をしていたが、リハビリをしながら何とか自力で歩けるまでになったのだ。

 

27歳で結婚し、丁度まだ新婚の頃の事故だったらしく家を建てたローン等もあり借金が1千万円以上に膨らみ、ガレージにロープを掛けた事もあったという。

 

 

でも1千万で首を吊ったら笑われると思い、他のメカニックと同じ事をしていても食べていける力は無いので、他のメカニックが嫌がる外車の電装を手掛けようと考えたらしい。

 

最初はなかなか認知されず、何か故障があると余計なものを付けたからじゃないかと佐藤さんが疑われていたそうだ。

 

その度にきちんと説明をし、配線の一本ずつを開けて見せたそうだ。

 

そのうちにディーラーがその技術を認め、今ではベンツやアウディーやボルボ等を扱う会社からも取り付けの依頼が来るまでになったそうなのだが、人を雇う資金も無いので全部一人で全てをこなしてきたそうです。

 

それがいつの間にか業界では知る人ぞ知る存在になり、全国各地から依頼を受けるようになったそうなのです。

 

 

今は一人弟子を育てているけど、神経を使う根気のいる仕事なので今の若い奴は出来ない事があると直ぐに諦めてしまうから体で覚える事が出来ないんですよ~と嘆いていました。

 

 

2月の中頃には宮城で600台の車にナビの配線をする仕事を請けているのだけど、一人だと一ヶ月に240台が限界なので、弟子に徹底的に教え込んでいるけど出来の悪い弟子に頭を悩ませているそうです。

 

その話には大きく頷いてしまいました。笑

 

技術や職人の世界は自分との戦いでしかないのだから、自分から学べない人間は自分で行動を起こす事すら出来ずに、挙句の果てには他人のせいにしながら出来ない言い訳しか探す事ができないのだ。

 

石に躓けば気付かない自分が悪いのに石のせいにしか出来ない人間にはなりたくはない。

 

そんなこんなで途中30分くらい御夫婦の撮影をしているうちに作業も最後の仕上げの段階に入っていた。

 

ボンネットを開け、オプションで頼んだキーの開閉時に確認の音を鳴らす為のスピーカーを取り付けていた。

 

知っている人は知っていると思うがニワトリの中途半端な鳴き声みたいに コッ コッ♪ と鳴くやつだ。

 

最後は全ての機能の確認をし、内張りの中に配線を綺麗に納めて終了。

 

スタジオで少し暖まってもらい、夕食でも一緒にと思っていたのだけど、佐藤さんは次の街に向かって元気良く走り去っていきました。

 

 

 

今回取り付けたスターターはVIPERというセキュリティーやスターターでは世界的に有名なブランド。

 

値段も良いけど機能も良い。

アンロックの後に30秒間ドアを開けずにいるとセキュリティーが作動して勝手にドアロックをしてくれたりエンジンを切ってくれたり・・・

スターターだけで純正のキーと殆ど同じ機能が使えてしまう。

 

飛距離も凄い。

街中でも1キロくらい離れた所からでもエンジンが掛かっていた。

 

 

年明けからうちのスタッフ全員車では色々有ったが、私のも仕上がったし、海彦のも直って来たようだし、店長も月末に納車が決まったし・・・・

 

めでたし、めでたし・・・チャンチャン♪

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

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