2011/11/28
先読みと礼儀
エプソンが主催の写真集作りの講習会に行ってきた。
場所は旭川。
稚内から2人、士別から3人の従業員を全員参加させた。
私は一人遅れて参加・・・・・
写真集の作り方を教えてくれるのはフォーラムという会社の社長さん。
私が覚えて作るより若いスタッフの方がデザインセンスは良いのだから今回はスタッフに覚えてもらおうと考えていた。
実は昨年この会社の写真集の事に関しては函館方面から色々と情報を頂いていて、作り方のマニュアルも入手済みだったので大まかな流れは事前に解っていた。
会場に着くと丁度うちのスタッフ達がエプソンの用意したソフトを使って編集の仕方を教わっていた。
他の写真館のスタッフの方達も居たが丁度編集の作業を終えて写真集の講習を受けている様子。
てっきり参加者全員が一斉に講習を受けるものと想像していたのだけどちょっと違ったらしい。
大人数では出来ないので、分割して行うとの事だった。
最初のグループの作業が終わったら次は私達らしい。
エプソンとフォーラムさんには悪いが、この時点でなんとなく違和感を感じていた。
口では説明しにくいが私の直感でしかないのだけど・・・・
編集が一通り終わり、プリントをしてもらったが先のグループがまだ作業中なのでしばし休憩。
海すけと稚内の店長がチョロチョロと先のグループの作業を覗き見している。
気になるのは解るが順番なのだし、細か作業をしているところをチョロチョロされたら遣り辛いだろうなあ・・・
おまけに同業者同士でもあり、データーは各自持ち込みなので自分のところの写真も正直見られたくは無いだろう・・・・
まして私には特に・・・笑
一度目は優しく休憩するように言って私は休憩所の方に出て行った。
この時、冗談っぽく作業している時にそんなにジロジロ見られたら遣り辛いだろうよと言ったのだが伝わっていない様子。
まあここで空気を読めよ!って事なのだけど、そこまで気遣いが出来るならとっくに写真も上手くなっているし、違う人生が待っていたかもしれないな・・・笑
一服して会場に戻ると・・・・
あちゃ~やっちゃってるよ・・・・
まだ講習している社長さんの元で勝手に名刺を差し出している稚内の店長。
海すけはメモ帳を持って相変わらずチョロチョロ覗き見。
後から説教部屋行き決定!
講習の順番が回ってきたら呼ぶように伝え、もう一度休憩するように言って私は一服しに喫煙所に出た。
この時点で俺の表情を良く見ろよ・・・
いつもにこやかな俺様がわざとに雲行きが怪しいような顔をしてやっているだろ?
タバコを吸っていると、店長が電話で話をしながら休憩所に出てきた。
ここで言うべきかどうか迷った。
隣の席に同業者のスタッフが居たので、ここではやめておこう。
これも一応私なりの気遣いのつもりだ。
店長の向かいの席に座り、じっと電話が終わるのを待った。
電話が終わって第一声が、あっ、お疲れ様です。
「あっ」 は 今気付きましたということなのか?
隣の人に聞かれても良いからお説教タイムに入ろうかとも思ったけど、それをやれば私の方がアホだと思われるのも馬鹿らしいので一言だけ 先走るなよ と告げてその場を立ち去った。
さてさて意味を解ってくれたのだろうか?
私より先に前に出てメーカーとやり取りするようなものに意味が解るわけがないのだろうけど、ヤバイという事だけでも感じてほしいものだ。
いよいよ講習開始。
椅子の数が2脚だけだったので、あえて其々の店の店長が座って集中して覚えなさいと指示を出した。
これが本来のあるべき形だと思う。
最悪でも二人がしっかり覚えて其々のスタッフに教えてくれれば良いのだ。
それだけ責任重大という立場を理解してもらわなければならないのだけど、理解出来ているのかどうだか・・・・
私は其々のスタッフの表情が見える場所に陣取りずっと立ったまま講習を聞いていた。
講習を受けながら実際に作業する部分は全員に交代で触れさせるように指示を出す。
10ページの写真集を作るのだから交代で作業させれば何となくでも感覚を得る事くらいは出来るだろう。
其々の目線を見てみると非常に面白い。
講師の一方通行な話で終わるセミナー等は別にして、実践を取り入れたワークショップの場合は
人の動き、特に手や指先の動きを見ながらその動きそのものを真似ようとする者は覚えが早い。
逆に作業しながら説明をしてくれている講師の顔をじっと見ながらメモを取っているような子は意外と実践で違う動きをして失敗してしまう事が多い。
その辺が良く見えた講習だった。
とりあえず一冊完成。
スタッフが喜んでいる後ろで私はコストや作る側のスタッフの能力、取引先の対応等々色々と考えながら無い頭をフル回転。
今回はフォーラムの社長さんの熱心な指導をして頂いた事に対しての御礼として、スタッフ其々に一冊づつ試しに作らせてみようと思い、その場で注文をし、そこではじめて名刺交換をさせてもらった。
それ以外は今の時点ではまだ必要の無いものと判断。
この辺が今回の説教部屋のネタにもなる。
私は講習後真っ直ぐ札幌に向かう予定だったが、全員が顔を合わせる機会も少ないし、初めて顔を合わせる者もいるのでとりあえず会場の近くで食事をする事にしたが、その肝心の一人が体調が悪いとの事、先に帰す事にした。
札幌の出店前に色々と全員の前で話をしておきたかったのだけど残念だ。
食事が来る前に店長に先走るなよと言った意味が解るか聞いた。
解りますとの事だが、普段の対応からみても解っちゃいないのが伝わる。
他のスタッフにも外に出て恥ずかしい思いをして欲しくは無い。
見たい気持ちは解るが子供でもちゃんと順番を待つという事。
周りに気遣いをしていないという事。
私が居る席で私より先に自ら前に出て行く事の無礼。
例えば相手から御紹介を受けたとしても、上司が同席しているなら自分の紹介の前に、先ずは上司を紹介するのが礼儀だ。
例え私の代理として人前に出たとしてもその順序が違うと笑われるだけではなく後の交渉にも影響しかねないのだ。
今回のフォーラムさんとは初めてお会いするのだが、写真集の製本に使う裁断機等の機材を扱っている会社でもある。
事前の情報だと他社に比べてかなり安い商品を扱ってはいるがその機材を揃えなくては自社で作るのは難しい。
無料の講習だが、その講習の目的は何かを先読みしなくてはならない。
それまでの間は出来るだけこちらの正体を明かさずに会場の空気に溶け込んで知らん顔をしていたいところだ。
その中で相手の出方をジッと待ちながら出来る限りのリスクを回避していかなければならない。
私はこう見えて、意外とセールス等の押しに弱いのだ。
だからこそ、冗談を言いながらでも壁の向こうから直感を頼りに自分の対処できる範囲でしか話に乗っていかないようにしている。
今回もこの先お付き合いをしても良い相手なのか等、色々と遠巻きに様子を探っていたのだ。
口頭で自己紹介をしたとしても多くは語らず、わざとに話を逸らすくらいの方が丁度良い。
時には名刺を頂いても、名刺が切れたふりをする事もへっちゃらでやる事もある。
もちろん普段は名刺を差し出されればこちらも普通に名刺を差し出す事はするので勘違いしないで頂きたい。
最初に違和感を感じたのもあるので、今回に限っての話なのだ。
まあそれはともかく、帰る間際になってうちのスタッフよりもっと礼儀のない人間が会場に居た事に気付いた。
礼儀どころの話ではない。
私は若い人に良く言うのだけど、学びの席では自分の作品を差し出してから相手の作品を見せていただく物だ。
自分の作品を見せずに人の作品だけを見て何かを得ようとする人間は学びではなく泥棒と同じなのだ。
皆其々に苦労をしながら頑張っているのに、その上辺だけを掬って物にしようという人間は泥棒でしかない。
あえて名前は出さないが次に会う時を楽しみにしていますと言いたい。