奥山陽一のコラム

2011/09/30

稚内3

 

 

出張最終日、この日はライティング講習。

 

昼からモデルさんをお願いしておいた。

 

 



 

 

 

しかしモデルさんが居ないとの事。

 

事の大事さが解っていないのか、居ないなら中止しようかと思った。

 

 

間もなくやっとモデルが見つかったとの事、モデルさんの到着を待つ事にした。

 

間もなくモデルさん登場。

 

直ぐに講習を始めた。

 

最初は遠巻きにモデルさんを観察しながらライティングの説明をした。

 

??

 

姿勢が崩れない。

 

 

その姿が女子アナに見えてきた。

 

楽にして良いよと言ってもその姿勢が崩れる事が無いのだ。

 

意識ではなく無意識であることも伝わる。

 

モデルの経験があるの?と聞いてみたが全く無いとのことだった。

 

一瞬、子持ちの主婦がモデルを目指す、吹石一恵が主演の「バラ色の聖戦」 という日曜ドラマを思い出した。

 

吹石一恵にはたいして興味は無いけど、モデルさんを扱うドラマなので、そのドラマの中でのモデルさん達の身のこなしや、時折ブライダル系の写真が遠巻きにセットの中に飾られていたり、ファッション雑誌が登場したりするので、作品作りの参考になると思い結構見入ってしまう。

 

 

普段写真屋で見る事がないようなコマーシャル的な良い写真が結構出てくるのだ。

 

見ればどういう光を使っているのかくらいは直ぐに解る。

是非真似てみたいと思う写真が結構有った。

 

まあ話は戻るが、ずっと姿勢が崩れないモデルさんを見ていると、きっと育ちの良い真面目な人なんだろうなあと思った。

時折話をしても、言葉使いも決してよそ行きにその場で繕っているものではないのも解る。

 

よく人像写真にはその人柄が写ると言われているが、私は決してそうは思わない。

 

営業写真の場合、御客様の真の人柄など解るわけがないではないか。

人柄が滲み出てくるという写真の話はもっとその先の話だ。

 

いらっしゃいませと言った時点で御客様の事が全て解るというなら占い師にでもなった方が良い。

 

人柄が写るとすればカメラマンの心情が写ってしまうと考えた方が良い。

 

色んな写真屋の写真を眼にするが、写真が上手いとか下手の話ではなく、もっとお客様を大切に扱って欲しいと思う写真が沢山ある。

例えば和装の乱れをそのまま写してみたり、もっと厳しく言えばお客様の指先や足元にまで目配りをしていないのが一目瞭然という写真が多すぎる。

 

私達の仕事はそれをきちんと捌きながら演出していく事が大切な仕事なのだ。

演出をしていく事である意味、こちら側の理想の人柄に作り上げていくといった方が良いかもしれない。

 

写真屋を演じながら、お客様に演じて頂いているのだ。

 

 

シャッターを切る前のその時点で90%くらいは写真の出来上がりが決まってしまう。

 

だから出来た写真を見るとカメラマンの性質が見えてしまうのだ。

 

この頃ライティングの講習をさせてもらう機会が多いが、それはカメラマンの為に講習をしているのではないのだ。

全てお客様の為に有る事なのだ。

個々の写真館のレベルを上げていかなければ、これから先に写真屋の存在は価値は無くなってしまうだろう。

 

誰でも簡単に写真が写ってしまう時代なのだからお客様が写しても写真屋が写しても変わらないような価値観の無いものを作り続ければ、たかが写真屋などは必要とされない時代がやってくるだろう。

 

今だからこそ写真の価値を高めていかなければならないのではないだろうか。

 

 

まあライティングやカメラのセッティング等はこちら側の話であって、お客様には全く説明を必要とするものではない。

いつでもベストな状態でお迎え出切るように我々が普段から学び整えておかなければならない最低限の準備だと考えている。

 

料理人が包丁を研いだり、美容師がハサミの手入れをするのと同じ様なものだ。

 

これらを無意識で使いこなせるのがプロの仕事ではないだろうか。

 

そんなこんなで一通り講習を終えた。

 

話は戻るがモデルさんにライティングをしているうちに、先程の話とは逆に人柄が滲み出てくるモデルさんだなあと感じた。

 

お願いして作品を写してみたくなったが時間の都合もあるようだし、店長のお友達との事なので今度ゆっくりお願いしようと思い、再会を楽しみに見送った。

 

その後新人ちゃんには証明写真の仕上げ、店長には次のステップになる画像の扱い方を説明し稚内を後にした。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

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