2011/03/31
Aちゃんに勘違い
今日も昨日に引き続き、朝から百日赤ちゃん~入学と平日にもかかわらず撮影ラッシュだった。
丁度同じ時間に誕生と入学が重なったり、撮影が済んだお客様の受付等で、一時店内には15名程のお客様が入り乱れる状態になってしまった。
通常では他のお客様と重ならないように時間を分けて予約を頂くのだけど、赤ちゃんやお誕生くらいの撮影だとお子様の機嫌次第では次のお客様にずれ込む事もあるけど、うちに来られるお客様はありがたい事に皆さん何も言わずに待っていてくれるし、時には他人の子供さんでも自分の子供と一緒に面倒を見てくれたりもして、本当にありがたいと感謝しています。
今日も撮影が重なりピークな時があったのだけど、丁度その時に今年高校を卒業したばかりのAちゃんがやってきた。
ニヤリ・・・・
手招きと同時に、スタジオの背景を上げ下げするモーターのスイッチのところに立たせ、私が合図すると同時にスイッチを切るように指示をした。
あっけにとられるAちゃん。
それが終わると今度は店長がニヤっと手招き。
着付室に拉致監禁w
丁度和装の撮影を終えた子の着替えの手伝いをさせ始め、なんとAちゃんに任せたまま、店長は受付でその前に撮影を終えたお客様の写真のセレクトを始めた。
Aちゃんの顔が引き攣っているが、ちゃんと子供とお話をしながら面倒を見てくれている。
よし合格!
次のお客様は自然光の撮影を希望されていたので今度はレフ版持ちをさせた。
Aちゃんの顔が引き攣ったままだった。
元からそういう顔だったっけ?引き攣ったまま戻る余裕の無い表情に元の顔も思い出せなかったw
ようやっと全てのお客様を見送り、落ち着いた。
さてさてこのAちゃんがいったい何者かって?
それは ひ ・ み ・ つ 爆
実は卒業アルバムでお邪魔していた高校の生徒さんで、先日証明写真を写しに来てくれたのだけど、明るい印象の彼女が暗い顔をしていたので、声を掛けると、進学の予定だったが残念な事に色々とあって進学を断念したとの事だった。
そこで急遽、卒業した高校の事務職員として半年だけ臨時で雇ってもらえる事になり証明写真を写しに来たそうなのだ。
「学校の事務?半年経ったらどうすんの?おまえ勿体無いぞ、どうだ?うちで働いてみないか?」
「え?本当ですか?」
「少しの間うちで研修を受けて、稚内かもしくはこれから俺がやろうとする新しい事業に参加してみないか?」 と問いかけてみた。
実はAちゃんは中学生の頃、将来はカメラマンになりたいと思っていたと聞いたことがあったのだ。
しかしどうやったらカメラマンになれるのかも解らなく時が過ぎ、看護の道に進もうと思うようになったらしいのだ。
色々と話をし、親とも相談してみなさいと言って帰した。
そんな話の中で今日私を訪ねてきたのだった。
玄関の前で姿を見た瞬間、店長にAちゃんが来たぞと告げ、よし何も言わずに実践で面接だ!という流れになったのだ。
まずは一服。
お茶を出してあげると一言。
「お話がしたくて来たのですが、お忙しいのに突然お邪魔して申し訳ありませんでした。
前もって連絡を入れておけば良かったのにすみません。」
言葉使いも礼儀も出来ているじゃん。
綺麗な日本語を使えるだけでホッとしてしまう w
「いやいや、いきなり現場に立たされてビックリしただろ?w」
「はいビックリしました、でも楽しかったです」
そうか、そうか、楽しかったか、よしよし久しぶりに良い子が入ってきてくれるなあ・・・・
「で?考えてきたのかい?」
「はいお母さんが、夢物語の先生は技術も良いし、色んな賞も貰っている先生だから、あなたがやりたかった事なんだから厳しい世界だろうけどありがたい話なんだから修行させてもらったら?って言ってくれました」
おうそうか、そうか、親もそう言ってくれるなら安心だな。
明日はまず何から始めようかなぁ・・・・・
「さあそれはどうか解らんぞ、ジャンケンで勝ったから賞をもらえただけかもしれないしなwww
でも普通のサラリーマンとは違う厳しい世界には違いないよ」
「はい、この数日間ゆっくり考えてみました。先生が言っていた本当にやりたい事が何かとか、これからの現実とか色々と考えました。
ただ、今回学校で採用してくれるのも、学校の先生方が手を尽くしてくれて、看護の世界を諦めずにもう一度チャンスを掴めるようにと特別に雇ってくれたんです。」
ん?? なんか雲行きが怪しくなってる?
俺の頭の上だけ低気圧が接近してる?・・・・・
「そうか、そういうチャンスをもらえるのも君の人柄だと思うよ。
今回のうちの話もそうだし、チャンスは日々沢山訪れるけど、それを掴めるかどうかは自分次第だよ。
俺は今の学校とか教師とか教育というもの全てに言いたい事が沢山あるんだけど、中には生徒の為に一生懸命になってくれる先生もいるんだよな。
そういう先生との出会いも君自身の運だと思うよ。だとしたら君が今出来る事は人の気持を裏切らず、一生懸命頑張って恩返し出来る様に前に進む事じゃないかな」
あら?俺、何良い人ぶってんだろ?
悪魔がささやかないぞ、こっちも欲しい人材じゃないかよ。
なんとかしてこっちに気持を向けるように説得しろよ~・・・・・・
「あのお、すごく虫のいい話ですが、半年経って採用が終わったらもう一度考えて頂く事は無理でしょうか?・・・・やっぱりそれは虫が良すぎますよね」
半年後かあ、10月。
そりゃあちょっとなあ、でもその頃はうちも丁度忙しい時期だしなあ。
いやダメだ!俺が今やろうとしている事は今までとは違うんだ。
俺自身が歩みを止めるわけにはいかない・・・・・
「そりゃあ虫が良いというか、君自身の為にはならないよ。
二股の恋愛じゃないんだからさあw
俺は思うんだけど、目標に向って歩いているうちは失敗って言う言葉は存在しないと思っているんだ。
歩みを止めて物事を諦めて終わらせた時以外は、その道を歩いているうちの失敗は失敗とは言わず経験だと思うんだ。
医療の世界はきっと写真の世界より厳しいかもしれないし、命そのものに関わっていくのだから、中途半端じゃいけないと思うよ。
どこぞの総理大臣だろうが、俺みたいなアホだろうが、小さな子供達だろうが、命の重さは皆同じ重さなんだよ。
ゆっくり下積み積みながらその命に関わっていくのも良いんじゃないか?」
だから良い人ぶるなってば! 悪魔の囁きはどうした? ほら涙ぐんでるじゃないか、こっちの水は甘いぞ♪ 教祖にでもイタコにでもなって口説いちまえよ! この先の面接でどんなのが来るか解らんぞ!
「凄いありがたいです。本当は此処に来る前は使って頂けるならお願いしたいと考えていたし、親も凄く賛成してくれていたしありがたい話だねって言ってたんです。でも考える時間があってよかったし、今までの私はきっと損得でズルく考えたりもしてきたかもしれないです。
でも先生と話して、逃げるのはやめようと決心がつきました。 私頑張ってみます!」
あちゃぁ~~~!決心しちゃったじゃねえかよ。
頑張っちゃうじゃないかよ。
人材確保ゲーム 一面クリアならずだぜ、アホだなあ・・・・・・・
「おうそうだ! 頑張れよ!! 写真が好きなら趣味でもやっていけるぞ。
ちょっと毛の生えた程度ならいつでも教えてやるしな。
まずは一歩づつで良いから目標を持って頑張れ!
また何かあればいつでも遊びに来て良いんだからな」
「はいありがとうございます!きっとまた色々と相談に来ると思います。
色々あったけど元気になれました!本当にありがとうございました」
こうしてAちゃんは飛び立っていったのでした。
すっかりうちで働いてくれるものだとばかり思って、いきなり現場にまで立たせたのだけど・・・・
あぁ勘違い・・・・チャンチャン♪