2011/01/29
取材
昨日札幌から学校アルバム等の制作会社、ダイコロの営業マンS君がやってきた。
東京で行われるフォーラムでダイコロの商品について取材をした映像をスクリーンで流したいというのだ。
事前に取材内容がFAXで送られてきた事を店長から伝えられたが、自分の仕事の事なのだから
どんな話でも出来るだろうと言って放っておいた。
仕上げをしながら、休憩中にふとFAXに目をやると・・・・
ん?
どの質問にも1分程度で答えてください?
???
おいおい・・・・
慌てて目を通すと質問内容が箇条書きされている。
これは取材ではなくアンケート調査だろ・・・・
間もなくS君が登場。
開口一番、取材っていうようなもんじゃないだろう! 俺に喋らせたら切が無いからって1分で答えろだなんていう策を考えやがったなwww
途中切りながら編集をすると言い訳をしながら苦笑いで準備をするS君の顔が引き攣っているようにも見えたw
自由人にとって縛りというのはキツイ。
いくら私が天才だとしても、制限される事が多ければ多いほどその天才振りを発揮する事が出来なくなってしまうではないか。
フェラーリに100キロでリミッターをかけるようなものだ。
まあしかし、こんな田舎まできて私のような者を取り上げてくれるというのだから、これもまた感謝、
感謝である。
与えられた時間で簡潔に伝えるという事も修練であり何事も勉強である。
今回の内容はダイコロの新商品、一冊から作れる卒業アルバムについてなのだけど、過疎化が進む地域の中には、たった一人の卒業生を見送る学校も少なくは無い。
今までの卒業アルバム業者も写真館も大きな学校の仕事は値崩しをしてまでも欲しがるが、少人数の学校には利益が出ないという理由だけで仕事を断るなどという腐れた野郎どもばかりだった。
少人数の学校の生徒さんが卒業の時に手にするアルバムはスナップ写真をベタベタと張り合わせる家庭用のフエルアルバムなどが多かった。
私が士別で開業して数年経った時、数校の教頭さんや教師から相談をされた事がある。
学校に写真屋が来てくれないというのだ。
話を聞き、熱心な教頭さん達の話に心を動かされ、中士別、朝日町の学校の撮影を引き受けた。
その頃の中士別小の卒業生はたった3人くらいだったのを覚えている。
そりゃあ勿論利益なんて出やしない。
逆に赤字の可能性の方が大きい。
私も学校に条件を出した。
私が撮影すると高い御代を頂かなくてはならないので、従業員の勉強の場として協力してもらえないか?という事で合意した。
その後、隣町の和寒高校からも相談を受けたが、内容はもっと悪いものだった。
アルバム1冊2万円。
写真屋が学校に顔を出すのは入学式の時の集合写真と証明写真だけ。
アルバムに載せる写真は教師もしくは生徒が撮ったものを使う。
まるっきりボッタクリではないか。
そんな行為が普通だと思われていたのも同じ業界の人間として恥ずかしく、またお詫びを申し上げるしかなかった。
そんな事で和寒高校の仕事は閉校の年までやらせて頂いたが、小さな学校は小さな学校にしか出来ない事が沢山あるし、今の学校教育から考えれば生徒さん達にとって、大きな学校に通わせるよりずっと良いところも沢山あるように感じる。
私自身も毎年行われている事業の閉校前最後の講師として講演させて頂いた事も思い出深い。
経営者として利益を考えるのは当たり前の事だが、そこだけを考える事の虚しさ。
原点は何処にあるのか。
始まりの心は皆綺麗だったはず。
まあこれは政治家どもやマスコミにも言える。
いや、全ての人の始まりの心だったのではないだろうか。
士別に来て15年が経つが全くブレない気持がある。
どんな田舎の学校だろうが、子供達にとっては母校なのだ。
教師には転勤があるかもしれない、でも子供達にとっては一つ一つが思い出になるのだ。
いつか何処かで友達同士で卒業アルバムを見せ合う時が来るかもしれない。
自分達の次の世代に見せてあげる時が来るかもしれない。
そんな時に母校の卒業アルバムが無いとしたらどんな悲しい気持になるのだろう。
大きな学校は黙っていても業者が仕事を取り合う。
だからスタジオ夢物語と言う会社も奥山という人間も然程必要は無いだろう。
私自身もそれはそれで全く構わないと思っている。
でもたった一冊の卒業アルバムであっても、他の学校よりページ数の少ない薄いアルバムでも
大きな学校のアルバムに負けない内容の物にしていきたいと考えている。
まあそんな気持を質問に合わせて話をさせてもらったのだが、本来なら私のリミッターを外して好き勝手に喋らせて欲しかった。
一応メーカーとしては商品のアピールが大前提だろうからそれなりに気を遣って、このようなダイコロの商品を待っていましたというよな事も言ってはみたが、本心では写真メーカーの対応は遅すぎるというのが本音だ。
これはダイコロだけではなく、全てのメーカーに言える事で、これだけデジタルが進歩している中で、
商品企画やデザインに関しては日本のメーカーはかなり遅れていると感じる。
台紙メーカーには10年前から言っているのだけど、我々よりお客様の方が情報を持っているのだからもっとお客様の目に飛び込んでくるような洒落たデザインは出来ないのか?等と言うと決まって仕入れがどうとか出来ない言い訳ばかりなのだ。
デザイナーに会わせろ!企画会議に参加させろとまで言った事がある。
結局出来ない言い訳を聞いているうちに、他所の国から洒落た商品がどんどん入ってきて、日本のメーカーは項垂れた状態になってきている。
だから言ってるじゃない・・・・
これからは中国辺りから入ってきている、自社で加工できるアルバムなんかがどんどん増えてくるだろう。
メーカーが作らないなら自分達で作れる物を探す。
当たり前の事ではないか。
ハッキリと名前を挙げたい台紙屋の営業マンもいる。
うちは他所みたいに新しい商品なんか作る気が無い会社だから営業に歩いてもしょうがないと堂々と言いやがったバカ野郎だ。
今回の取引で最後になるだろうから黙っているつもりだが会社の為にも一日でも早く野に放して自由にしてやって欲しいと願っている。
まあそんなこんなで、私より取材する側のS君の緊張しまくりの姿に笑いながら無事取材を終えた。