2011/01/19
ipad導入
先日会社でipadを導入してみた。
会社で導入するということは、その使い道を明確にしなくてはならない。
写真業界に於いてはネガフイルム時代の歩みとは全く比べ物にならないスピードでデジタル化が進み、更にはネガの時代にあった明確なカメラマンの技術的な個人差というものがデジタル化されることで、その幅がどんどん狭くなってきている。
私の場合は今から15年以上前からデジタルシステムに触れていたのだけど、今と変わらず、いや今よりもっとPCの知識は全く無い状態ではあったが、デジタルは暗室作業と同じ事を明るい部屋で出来るただの道具という明確な意識があり、それは今も変わっていない。
今の写真屋が画像処理ソフトでやっている事の殆どを、昔は皆手作業でやってきた事でしかないのだ。
数年前のフォトショップ等では、暗室で培ってきた技術や、修行時代に毎日コツコツと練習していた修正技術を応用し、それが出来ないカメラマンとの完成度の差は明確なものであったが、今ではそういう経験の全く無い人間にでもボタン一つで簡単にキレイな写真が作れてしまう時代になってしまった。
出来ないから出来る努力をしようというものではなく、努力せずに出来る便利なソフトを作る。
努力というものは利益を生まない。
企業は利益を優先させなければならないから、努力より先に便利なものを導入する。
技術を持った人間を高い給料で雇うより、誰でも作業が出来るシステムを構築し、マニュアルの中でパートを雇う方が利益が生まれると考える経営者が増加していった。
こういった流れが今の日本を作ってしまったと言えるかもしれない。
こんな古臭いと言われるかもしれない考え方をしてきて損はしないが、徳をした部分は多い。
私の場合はいつでも原点で勝負出来ると考えているので、デジタル機器の導入に関しては周りよりも遥かに遅い。
世の中の仕組み、大企業の思惑、そして写真に関してだけ言えばカメラの製造工程や歴史を考えれば、おのずと今が買い時かどうかの判断は出来る。
簡単に言えば、1型が出たら2型が必ず出るということ。
これはフイルムカメラの時代から何も変わらない。
それでも仮に1型が出ると、デモ機を借りてテストするなり、周りで使っている人の状況を見ながら色んな事を模索し、その先を想像する事だけはしっかりとやってきた。
最終判断はやはりお客様あってのものでしかないのだけど、そこをしっかりと考えてきた分だけ、余計な経費は掛けなくても済んでいるかもしれない。
自分の作る写真に対して、ネガカメラとデジタルカメラとの差がどれだけ縮まっていくのか、それが導入への判断基準であり、その差を縮める為に修行時代以上に研究を重ねてきたし、今もそれは日々継続している。
カメラ好きと技術は比例しないのだ。
まあその分、私の場合は金儲けが下手なのだと思っている。
でもお陰様で、今ではデジタルで撮影しても、その辺の写真屋がネガで写した写真と勝負しても負けないくらいには成長しているかもしれない。
それと同時進行しながらデジタルの可能性を想像する事や写真そのものを想像する事を常日頃意識してきた。
それはデジタルを否定する気持から、受け入れる気持への変化の現れや、自分が考える写真に対する自信からなのかもしれない。
iphoneがワイドショーを賑やかしていた時、これから先の事を色々想像した。
その後すぐにipadが出た時にはその想像が更に膨らんだ。
自分の想像と現実が一致した瞬間だった。
これは買いだな・・・・
でも、やはり次を待つべきかとも考える。
それと同時に他社メーカーでもどんどん新しい物を出してくるだろうと考えていたし、そんな事はこの国の多くの人が想像できたと思うし、期待していたのではないだろうかと考える。
色んな想像が出来る物というのは価値のある素晴らしいものだと思う。
私が講演等でよく話をする、コップを飲み物を飲む道具としてだけで使うのか、コップを自由な発想で使うのかという話とリンクする。
ipadというものを使ってお客様に提案していく事の想像はどんどん膨らんでいく。
あちこちで他社メーカーから出てきている物も実際に触ってみたりもしてきた。
やはり今日この時点ではipadに分が有るようだ。
数年先の写真業界のあり方や、世の中の動向を考えると、うちのスタッフ達には今から触れさせておいてやりたいとも考え導入に踏み切った。
問題はスタッフ達が何処まで想像できるのかという事なのだが、みんな私より遥かに若いのだし、本来であれば私に色々と提案をしたり、色んな事を教えてくれる側にいなければおかしな話なのだ。
その辺の技量が仕事や写真作りそのものにも現れていると思っている・・・・
逆に私は企画やアイディア等は泉の如く湧いてくるのだけど、何せPC等に対しての知識が乏しい分、想像をどう形付けながら現実のものとするのかが課題である。
まあ近い将来には、画像処理ソフトも指先で操る時代がやってくるかもしれない。
勉強、勉強・・・・・・
まあそれにしてもこのipadは面白い。
今日は撮影の時に子供をあやす為に色々と 使えるようにしてみたのだけど、操作しているうちに
私の方が思わず噴出してしまった。
次は撮影メニューを画像化してお客様に色々と提案できるようにしようと考えている。
次から次へとやってみたい事が出てくる。
まさにCMのように魔法の箱かもしれない・・・・・