2010/08/27
恒例の釣りツアーでの課題
毎年恒例の夢物語釣りツアー・・・
今年も行ってまいりました。
知床は羅臼へ・・・・
20年来の付き合いがある羅臼の友人から毎年この時期になると電話が引切り無しに鳴り響く。
「おう!おりだぁ!おめえ やっと来いってば、おめえ 港さ群れ入って沸いてるってば!」
漁師のTは独特な浜言葉を使い、その語り口調に多少意味が解らなくても周りの皆が笑い出す。
日頃上品な私もついつい彼と話すときには言葉の調子が荒くなまってしまう。
でもそのなまり口調に暖かさや人間臭さ、そして羅臼の漁師である事に誇りを持っていると感じる。
毎年我社はお盆休みというものが無いので、羅臼に行きたい者はツアーに休みをぶつけるように、
また、強制ではないので行きたくない者は別に休日を与えているのだけど、今まで誰もがこの羅臼ツアーの為に休みを貯めている。
士別に来て15年、毎年この時期のカラフトマス釣りは欠かしたことが無かったけど、昨年は稚内のオープン後でスタッフの予定も合わず、私も精神的にもきつくて唯一ツアーを中止した。
その代わり釣りは出来なかったものの静岡から先生の奥様とお嬢さんが遊びに来たので、時期は違えど羅臼でTと大宴会をしたので、辛うじて顔を出すことは出来た。
Tは自分の街に誇りを持っている分、外からの人を誰でも分け隔てなく招き入れる。
そして年上だろうが下だろうが、初対面でも関係なく同じ口調で接しながら、常に笑いを取る事を忘れない。
先生の奥様とお嬢さんも終始笑い転げていて、今でもTさん元気ですか?とその時のことを楽しそうに話してくれる。
そんな中、今年は色々考える事もあり、スタッフと調整が付かなかろうがどうであろうが私一人でも行くつもりだった。
ツアーには私やスタッフだけではなく、毎年参加している北見のF君も楽しみにしているし、私の札幌の叔父が九州に引っ越していく予定があるのだけど一昨年から参加し、事あるごとに北海道を離れる前にもう一度羅臼に行きたいと楽しみにしている。
またその時々にゲストも招いたりするのだけど、今年は函館から北海道グランプリを獲った女性カメラマンのAさんも参加したいとの事。(その後予定が合わずに残念ながら不参加)
また今年は有休を風邪で使い参加できなかったけど毎年参加している若い子もいたりするのだけど、私も行きたいという人達は平和を乱すような害が無い人であれば誰でも連れて行ってしまう。
このツアーの始まりは知床の大自然の中で、強く生きる事や生命の素晴らしさを感じて欲しいというところから写真仲間のF君や若い子を連れて行ったのが始まりだったのだ。
始まりは二人、羅臼ではなく斜里ツアーから始まった。
それから3人になり、そこから更に知床の魅力に取り付かれた人間が増えていき、今では大所帯になりつつある。
知床の大地の中で釣りをするのは、理屈抜きに身体で生命を感じる事が出来る。
釣りを知らない人間でも羅臼のカラフトマスの力強い引きを一度でも味わうと癖になってしまう。
同時に魚との駆け引きの中で、想像力や普段には無い知恵も浮かんでくる。
昔、亡くなった北見のF君のお母さんがよく言っていたのが、私が釣りをしながらでも作品の事を考え、何かしら写真に結び付けていて、そのパワーの源になっているに違いない。
だからうちの息子の事も宜しく頼むねって、F君が悪の道に誘われているのに笑ってくれていた事を思い出す。
そのかいあって、お坊ちゃま育ちっぽかったF君も、最初は海の中の魚の群れを見つけることも出来ずに、私やTが海の波を見ながら群れを見つけては、「あそこに群れが居るぞ!」とか、「今そっちに泳いで行ったぞ!」何て事を言っていると、「え??どこどこ?」なんて言っていたF君だったけど、今では私よりも先に群れを見つけることが出来るようになり、立派な漁師に成長してくれた・・・笑
始めた頃は、私が雄と雌を区別しながらヤスで魚を刺したり、仕舞には一瞬にして手掴みで捕らえたりする事を冗談だと思っていたのだろうけど、目の前で現実に起こる事に目を丸くして引き攣っていた事を思い出す。
今では立場的にも、くだらない法律や何かのせいで、そんな楽しい事も出来ずにいるが、子供達にそういう事を見せてやれる大人でいたいと思っている。
自然相手に身に着けたものは絶対に生涯失う事は無い。
そしてそれが必ず次の世代に受け継がれていくのだし、伝えていかなければならないと考えている。
世の女性も、見てくれや銭じゃなく、こういう生命力のある男を選ばなきゃ、ろくな婆さんになれないぜ~~・・・・笑
まあ話は戻るけど、私もこの通り考える事が多々あるので、今年も稚内の方のスタッフは修学旅行の撮影と重なり行けそうに無い返事だったけど、私は我侭にもお客様との撮影の日時やその他にも予定があったけど全て事前に調整をさせて頂き、予定通りに出発することが出来た。
稚内の店長には勉強の為に連れて行くべきか悩みましたが、自からその意味を考える事はまだ出来ない様子だったのと興味が無さそうだったので、ただの私のお遊びにつき合わせるのも悪いので今回も無しとしました。
そんな事よりまずは快く行ってらっしゃいと送り出してくださったお客様に感謝、感謝です。
実はこの予定を組む事にも意味があり、勉強だということにスタッフは誰一人と気付いていません。
近頃業界の中でも若い連中が企画ごとや大会なんかを欠席するのが目立ちますが、本来は何をおいても積極的に参加して学ばなければならない立場のはずですが、やはり忙しいという理由だけで参加しようとする努力も見受けられません。
私でさえ今年の大会時期には半月近くも留守にして飛び回っていたのですし、世間は広く、まだまだ学ばなければならないと実感しているのですが・・・
忙しいから欠席。
忙しいから無理。
忙しいから・・・・・
JC時代に理事長を仰せつかった時に、時間を作る事、時間を使う事を学びました。
年間のスケジュールで動く場合、その事前のスケジュールで自分の行動や仕事の調整も出来ないようじゃリーダーシップは取れないし、接客の場合にも自分の都合でお客様の気分を害する事無く誘導する話術や駆け引きもその能力次第と教わりました。
はじめは仕事投げてまで冗談じゃない!と思っていましたが、嫌でもやらなければならない責任もあり、常時月に4度の会議や大きな事業の時にはほぼ毎日深夜まで家を開けっ放しで、更には昼間の営業時間内でも、市の充て職で14の会議体にも顔を出したり・・・・
仕事の方でも、JCなんかやってると写真がダメになるぞ!なんて事を言われたりもしたので、持ち前の反発心で画廊での個展までやらせて頂きました。
確かに開催までの間、作品の仕上げに没頭して、睡眠時間が毎日2、3時間というのを一ヶ月以上続けたので、個展が終わった日に40時間くらい爆睡してしまった事もありましたが、自己満足の世界であっても自分自身の挑戦としては成功だったと考えます。
もちろん一年間やり遂げましたし、翌年は更にハードルが高くなり、稚内から深川までの10の街を毎月訪問しながら、他の街のメンバーの協力を得て 「愛する故郷再発見」という子供達にカメラを持たせながら各街の良い所を10枚づつ集めて100枚の写真展を開催するという大事業もやり遂げました。
やれば出来るのです。
うちのスタッフにはこんな話はした事がありませんが、一々ネタをバラす必要もありませんし、私が社内で行動を起こす事やスタッフに何かをさせたり与えるには全て私の中では意味がある事だと再三伝えてあるので、今回も参加するしないは自由にしました。
その代わり参加する者達にはクリアしてもらう課題を与えました。
まずは旅費や滞在中の経費は自腹。
今年の写真のセミナーも参加する事に何の意味があるのか、参加して仕事に生かしている者が誰一人として見受けられないのと結果を求めることも出す事もせずにいるのだから今後は一切参加させないと言ってあたのですが、どうしても行きたいと言われたのですが、何の根拠も信用も無いので自腹で各自で勝手に申し込むようにさせました。
今回のツアーも同じです。
自然の中で何かを感じるわけでもなく、釣りにしてもどうしたら釣れるのかなんて考える事も無く、また何かを聞いてくる訳でもなく、ただ会社の旅行だから着いて来てそこに居るだけみたいな姿を見せられると、自由参加にした方が良いし、自分から楽しむ事を探せないとか、逆に楽しめないのならそれは私の方がスタッフに申し訳なくなってしまう。
それに参加するにも宿代や船代やもろもろ計算しても最低3万円くらいは掛かる。
別にそれくらいは経費で出してあげても良いのだけど、前回のツアーの時にスタッフから月々積み立てをしましょうという話になり、色々提案事項もあったが実行するわけでもなく流れて終わり。
スタッフにも今日話をしたが、会社から給料を頂くには自分が売り上げを考えられるようにならなきゃいけない事や、自分の身銭を切って学べる物があるのだし、人のお金では成長するものは何も無いのです。
それでも考える能力が無いのであればそのレベルで終わるのだし、店を持つような事も出来ないであろうと考えたり、自腹を切ることでもう少しその時間や行動に価値を見出したり有難味を感じて欲しいと考え、今回は自腹にしました。
もう一つの課題は先にも書きましたが、自分の予定の組み方の中で仕事をどう進めるか、優先順位でどう効率化を図りながらクオリティーを上げていけるのか・・・
納期までに仕上げが出来なければ参加は許されないのだし、その為にクオリティーを下げるのはもってのほか、絶対に許されるわけが無い。
そして更なる課題は自由気ままに海岸を魚の群れと共にその状況で転々と変えていく私を見つけ出すことが出来るかどうかというのも今回の課題なのです。
最低限宿は決まっているし、部屋割りも男性陣、女性陣、夫婦用にしてあるので解らなければ自分の部屋に引きこもっていれば良いだけ。
あとは自分達で小さな小さな脳みそをフルに回転させるしかないのです・・・
それからいつもこのツアーでの行きの運転手は私一人。
帰りはさすがに交代で帰ってきますが、士別から羅臼までの道のりがどれだけ遠くて大変な事かを身をもって思い知らせてやろうと考えていたのですwww
最初は宿の名称も何も教えずに知らん顔をしていようと思っていたのですが、さすがに心優しい私はそこまで鬼にはなれませんでしたw
今回はF君の予定と、うちの店長がF君のスタジオで勉強してみたいと以前から言っていたのと、スタッフの一人が足寄で撮影があるのでハンディを与え日程を組みましたが、移動距離が大変だとかと愚痴っていたようですが、あっさりと強制ではないので愚痴るくらいなら家でゆっくり休んでも良いと伝えましたが皆参加するとの事でしたので自分達で私が釣りをしている場所を探せと放置してみようと考えたのです。
愚痴られる筋合いもなければ、楽しめないのなら参加しなければ良いのだし、私が楽しませるものでもなく、自分が楽しみを探せばいいだけの話しで、それも出来ないとしたらそれはその人間の生きていく能力がそこまでのものでしかないのです。
今回はF君もホテルの写真室を持っていたり、私の三倍くらい忙しい会社の経営者なのですが、事前にホテルの方にお願いして全ての撮影を違う日にしてもらったり、お客様の撮影予定を調整したりしたそうです。
このように、遊びに対しても年齢や立場によって考えなくてはならない事も増えてくるのですが、遊びたければクリアしていかなければならない事も増えてくるのです。
これで仕事が切られたりお客様が離れていくとしたなら、力の無さを実感しなければならないのだし、このカメラマンに写して貰いたいというお客様というファンが居ないと言う事なのです。
もう一つ課題を出すとすれば、稚内の店舗のスタッフとの連携です。
今回は課題にしませんでしたが、遊びであっても自分達できちんと話し合い一緒に参加できる方向に進めば良いのですが、自分達の店は自分達の店でというような感じが見受けられ、この部分は私もそろそろ一喝入れなくてはならないのかなと思う事もあるのですが、理解出来ない所に爆弾を投下しても何の効力もないので静観していようと思っています。
どちらのスタジオも私の考えることは一つなのだし、スタッフに対しても平等に其々の弱点に対して課題を与えてきたつもりですが、自分だけが苦しいなんて考えているようじゃまだまだ私と喧嘩なんかできません。
あっ、喧嘩と言っても殴りあったり掴みあう喧嘩ではありませんよ 笑
私がスタッフに気を遣ったり申し訳無さそうに頭を下げたり、気を遣うばかりに運営に対して悩んだり疲れたりする事も多いけど、私にはそんな事はプライドがどうとかトップとしてどうかなんてどうでも良い話で、それが出来なければトップを降りれば良いだけの話なのです。
周りの経営者の方達には私のような技術職の場合、自分が苦労して得てきた技術を伝授したり分け与えるだけでも一体いくらの資産価値があると思ってるんだとか、その事を従業員は理解できないのだから教えるべきとか、会社の為に会社の資金を生き金として動かさずに多店舗経営は出来ないのだとか色々優しく優しく教えて頂いておりますw
トップがいる本店はそこにトップが座って息をしているだけで他の店舗より余計な経費が掛かるものだから色々お金の回し方や内部留保を考えていくべきなんて事を言われるし、貧乏性なのか自分の事だけの為にお金を使うという事になれていないせいで、税理士さんからも売り上げは上がっているけど、社長として会社の為になるのなら自分を磨く事に対してもう少し経費の使い方を考えろとか、
税務署からでさえ、稚内の店舗についても私が生きている形跡が見受けられないとまで言われる始末。
きっと、今話題の実在しない150歳のおじいちゃんの話のような心配をされているのかもしれないw
色々言われるけど、私自身が経営者になる事には大して興味も無い話だけど、次の目標を考えていく上では嫌でも考えていかなければならないし、もっと我侭にならなければならない部分もあるし、従業員が自分達の足で階段を上ってくるように仕向けていかなければ次のゲームが始まらないのです。
なんだかんだで結局は私の課題ばかりになりそうな今日この頃でした。
来年の釣りツアーはどんな課題を与えようかな・・・
あえて言い訳をしますが・・・・
確かに遊びかもしれません。
でも私達も同じ人間です。
更にはトップである以上、年に何日間心身共に仕事から離れられるのでしょうか?
実際休みを頂いて、完全に仕事から離れる日があったとしても、実際には何処に行っても写真の事が頭から離れる事はないのです。
経営者と言ってもお客様の撮影をするのは自分個人であり、ベストを尽くすにも心身共に健康でなくてはいけません。
まあ年に数度くらい自分自身の充電の為に完全にOFFな日があっても良いですよね?笑
その分また新たに自分自身に気付いたり、違う角度から発想が生まれたり、それが必ずお客様を撮影させて頂く事に繋がるのだし、繋げなくてはならないという心を芽生えさせるのだから・・・・