奥山陽一のコラム

2010/03/11

頑張れ起業家

 

相談があるという事で、知人の妹 Rが遊びにきた。

Rはスイスの人だったかどうだか忘れたけど、国際結婚をして子供が一人。

旦那さんは写真が好きで、向こうに居る時に何度か自分の写真を見てくれと連絡をくれたりもしていた。

 

今回の内容は自分で会社を起ち上げたいという話。

 



 

以前にもそんな話をしており、動き出したら相談に乗ってもらえないかとの事だった。

 

今回の相談は・・・・(長くなるので箇条書きで)

 

 

起業するのはホームページの制作会社。

 

既存のホームページよりデザイン性に長けたおしゃれなものを作りたい。

 

その第一弾として幌加内町にある会社のホームページを作ってPRし、企画運営を手掛けたい。

 

会社がPRしたいものは幌加内そば。

 

仕事を頂く為にはどのようなプレゼンが必要か?・・・・・・etc

 

 

まだ若干20代後半のR

 

自分で起業したいという勇気と決断、そしてその行動力には拍手を送りたい。

 

しかしながら、世の中には妄想族は沢山居るもので、企画したりする事が好きだけど行動に移している人は少ない。

目標を掲げてもその目標を達成させるというのは本当に大変な事だと思う。

 

私達の世界も、カメラや機材好きで歩くカタログみたいな人間も少なくは無い。

それだけ詳しく勉強できるなら良い大学にでも入って博士号でも獲れるんじゃないか?って言いたい。

カメラや機械好きと技術を得ていく事はちょっと違うような気がする。

 

・・・・・話は本題に入るが、以前に少し話したときにも彼女は真っ直ぐな目で熱く語ってくれたのだけど、熱いのは自分だけであり長い説明をされるとその事にたいして興味の無い私には最終的には内容が整理出来ずに話が噛み合わなくなってきたり、はたまた他人事のようにしか受け取れなくなってきてしまうのである。

 

我が社でも従業員達が日本語を上手に操れないばかりに、会議等で熱い気持ちをぶつけてきても結局それは自分よがりの話になって最後には言ったとか言わないとかの話になりやすく、それをまた1から説明したり、しまいには私の怒りに触れてしまったり、冷たく言ってしまえば時間の無駄でありそこには経費の無駄や、労力の無駄や様々な無駄が生じてしまう。

そこでスムーズに会議を進める為に、提案がある者は事業計画書を提出するというルールを作った。

全員が同じ雛形で、事業名、事業内容、手法や予算を記すので、誰が見ても解りやすいのです。

 

自分よがりで好き勝手な事を言えるのは、自分の日記帳か何かの他人の目に触れないところだけで存在する事でしかない。

その中であれば、奥山くそったれ死んじまえ と書いてもらっても構わないのである。

もちろん日記といっても、皆さんが目にしてくれている会社内でのブログはまた別物だと思う。

 

いけないいけない、また話が脱線・・・・

 

で?話はどこまで進んだっけ?

 

あぁ そうそう、そのRの話だけど言わんとする事は解らなくも無い。

でも、ビジネスとして成り立たせる為には熱い気持ちをダラダラとぶつけても逆効果でしかない時の方が多いのかもしれない。

 

問題はお客様に理解を賜りたいと願うなら、まずは自分よりお客様が先でなくてはならないと考える。

 

そこで彼女に提案したのは 「事業計画書」 を書く事を薦めた。

 

もちろん心の優しい私だし若い女の子が一生懸命なんだもの、話を最後まで聞いたうえで優しく丁寧に事業計画書の必要性を説明しました。

決して、「R!お前の話は長くて、結果何が言いたいのか何がしたいのか解らん!」とかそんな事は少ししか言ってません。

 

そんな話の後、数日して彼女が再び現れ、今回の幌加内そばの会社のホームページについて語りだした。

 

今度は文面を読んでくださいと言って、計画書っぽい物を渡された。

最初の数行を読んで机に置いた。

 

すまん。

 

自分の気持ちを文章化しろとは言ったけど、物語を書けとか小説を書けと言った訳ではない。

そっか!計画書の書き方が解らなかったのか・・・・

 

「まずは提案したい事を箇条書きにしてごらん。 そこで御社の既存のホームページを拝見させて頂き、こことここを改善してみるとイメージが変わるのではないかと思います。その部分を私なりに箇条書きにしてみました。見て頂けますか?如何でしょうか?

程度くらいに話をしてそっと計画書を相手に向けてごらんよ。

そこで相手の食いつき方を見ていれば良いんじゃない? 全てを見せてしまうとお腹が一杯になって御馳走様でしたって感じで終わってしまうんじゃないかな?」

そうRに話すと、Rは何かに気が付いたかのように私の話に食いついてきた。

 

「ところでR、ホームページを作るのは良いけど採算はどうなの?制作費にいくら頂いてどれくらいの収入を見込んでるんだい? もちろん作るのは自分達の技術だろうし仕入れ等が殆ど必要ない世界かもしれないけど、ホームページを作る会社は山ほどあるんだし、技術だけを武器にしても難しいんじゃないか?」

 

「奥山さんまでお金の話をするんですか?奥山さんはそうじゃない人だと思ってました。

私はホームページをもっとお洒落に作りつつ、企画等を提案してお客様に貢献したいのです。

それから自分の会社を通して自分の住む街を広くPRして街ごと有名にしてみたいんです」

 

「いやはやスマン! 俺も銭は後から付いてくると思うし銭が先だという意識も無いよ。

それに20代の時はひたすらがむしゃらに突っ走ってたのも確かだわ。

ただちょっとだけ聞いてくれ。

がむしゃらに走れたのは、周りの人達がいてくれたお蔭であって、自分の力量なんてたいしたこと無いと今更ようやっと感謝出来るようになってきたんだよ。

それから一番心配なのはお前さんは家族がいて、子供が居て、それを養っていかなければならないという現実が待ち構えているではないか。

俺だって好きな事やってるけど、好きな事をやるにはそれ相応な覚悟や責任ってもんが付いてくると思うんだ。

Rにその覚悟が出来ているかどうか、夢は追いかけろ!でもまずは食っていく事が出来なければ夢を追いかける事も中途半端になってしまうんじゃないか?

悪いけど、営業先に見せる事業計画書を作る前に、自分の会社を起業する為の事業計画書を俺に書いて提出してみてくれないか?

子供を幼稚園に通わせる為に掛かる費用から食費等全ての経費と、自分が起業して一年の収入見込み、いや一ヶ月の収入見込みでも良いから計算してみてごらんよ。

それを見て、俺がRの会社にどんな投資できるかどうか考えてみるよ」

 

 

「一応製作料の他に管理費もきちんと頂いて、出来るだけ検索にヒットするように管理しようと考えてます。 なんか現実を考えると怖いですね。 もっと勉強しなきゃ駄目ですね・・・・」

 

「いやいや、応援はしたいさ。 起業する事も素晴らしいと思う。 その夢を摘み取ってしまうような事もしたくはないさ。

でも現実にITとか何とかって洒落た名の仕事に現実を見出せずに人生丸ごと潰してる奴を目の辺りにして見てるからさ・・・・

管理費はいくら貰うんだい? せいぜい1万円程度だろ? じゃあ自分達が飯を食う為にはいったい何軒の管理をしなければならないのかって考えれば計算機なんか必要ないだろ?

ホームページの製作日数だって一日一件で完成させるなんて出来ないだろうしな。

夢を語るのはメリットだけで良いけど、夢を実現させるにはデミリットを考えなければならないし、そこの壁を乗り越えていかなければ実現できないと思っているんだ」

 

 

「・・・・そうですよね、でもやりたいんです。

出来る方法を考えてみます。

もう一度来てもいいですか?いや絶対にまた来ます!・・・・・・」

 

「おお!いつでも来いよ、でも俺くらいの人間を越えられなきゃ次の壁も越えられないぞ! 頑張れ!」

 

頑張れ!私には頑張れとしか言ってあげられません。

 

よく頑張れという言葉は言わない方が良いとか何とかってテレビの向こう側で言ってるのを耳にしますが、それは本気で死に物狂いで頑張ってる人に対しての事であって、現実には頑張れしかないのです。

 

 

「頑張ります!」 良く聴く言葉です。

問題は何を頑張るか? というところからではないでしょうか?

そこから次が見えてきたりするものだと思います。

 

頑張れ!

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

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