奥山陽一のコラム

2010/03/12

頑張れ企業家2 核家族対策

 
昨日のRの話・・・・

 

 

Rから企画の話を聞いた。

 

幌加内そばを通販でも取り扱い、それに付随してホームページの訪問客を拡げていけるように幌加内町のPRやクイズ形式でホームページ内でイベントが出来るようにしていきたいとのこと。

 

話は端折るがこんな会話だった。

 

「奥山さん幌加内のそばってめちゃくちゃ美味しいんですよ!知ってますか?」

 

「ん?俺だってそれくらいは知ってるぞ」

 

「幌加内にそば打ちでめちゃくちゃ有名なおばあちゃんがいるんですけど、そのおばあちゃんがそばを打っているところからビデオで撮影をして、上手なそばの打ち方ビデオと道具一式とそば粉をセットで販売しようと思うんですけど、面白いと思わないですか?

もちろんビデオの撮影等はお願いしたいんですけどいくら位の予算で出来ますか?」

 

「はい質問!

めちゃくちゃ有名って俺は知らないんですけどw 

ビデオは何分物ですか?」

 

「そばを打っている間ずっとですから1~2時間物でしょうかね・・・」

 

「まずは3分クッキングとかの料理番組や、そこらに売っている料理のレシピ本なんかを見てみたら良いよ。 例えば 肉を焼きますと言った後にずっと焼き上げるまで待ってるかよ?

すぐさま先に焼きあがっている肉が出てくると思わないか?」

 

「ああああそうですよねえ・・・・・」

 

「3分の番組を作るんでも実際はものすごく時間は費やされているわけだよ。

その通りに流していたら視聴者だって困っちゃうだろうし、3分間クッキングじゃなくなるし、お気軽に作れる料理じゃなくなっちまうだろうよw」

 

「ですよねえ」

 

「ですよ ですよ全くも~!」

 

「でも面白いと思いませんか?」

 

「面白いと思うよ」

 

「やった~!」

 

「お前さあ・・・お客様は俺じゃないだろうよ。それから撮影は婚礼の相場が旭川や札幌で9万~10万で、うちは低めの設定で7万でやってるんだけど、目標的にどれくらいの数を売るつもりなの?」

 

「7万円の予算で良いんですか? 一応今の段階でその会社のホームページからの売り上げが年間20万円くらいしかないので、それを私達が何とかして売り上げを伸ばしたいんです」

 

「おいおい年間20万円しかないのに、どやって製作費用が捻出できるんだい?」

 

「もちろん収入はそこだけじゃありませんよ。色んなところで販売もしてますから大丈夫です」

 

「大丈夫かどうかは解らないけど、仮に俺が撮影したものを著作権も放棄して原版を渡したとして10万円かかるとして、その他にそば打ちのおばあちゃんはノーギャラなの?

そば打ちの道具はどこから仕入れるの?」

 

「え?道具ですか? 結構色々あると思うんですよ。

ついでにまな板や何かに幌加内のブランドマークとかをデザインして焼印とか押しちゃおうかと思ってるんです。あとは包丁とか、何か色々揃えていけば何とかなるんじゃないですか?

良いアイディアだと思いません?」

 

そんなに目を輝かせて言われても・・・・・

 

「焼印は良いけど、元になる印を作るのに予算はどれくらい?」

 

「え?高いんですか?」

 

「ええ高いと思いますよ」

 

「・・・・・」

 

「あのさあ・・・・まずはその辺からもっと勉強しておいでよ。 」

 

「・・・・・・」

 

「それから、そばのアレルギーに対しての勉強もしておいた方がいいよ。

あと、肝心なのはそばの歴史をもっと紐解くべきだな。」

 

「そばの歴史?アレルギー? ・・・・・はい勉強してみます」

 

「それからもう一つ。 企画はいいんだけど、 そば打ちのおばあちゃんにお願いできるなら親子三代というテーマを考えて見てくれ」

 

「親子三代?」

 

「幌加内そばだとか何とかってお前さんが感動していても、それはR本人が勝手に感動しているだけであって、幌加内そば自体には幌加内の歴史や文化や今に至るまでお前が生まれる前から色んな物語を経てきているんだよ。

Rが感動しているのは外国暮らしだったということもあれば、年齢からみればようやく今になって幌加内そばに出会ったという自己満足の世界なわけだろ。

自分の経験値と俺や他人の経験値を同じ値にして話をするのは実は凄く失礼な事にも成りかねないんだぞ。 だから幌加内そばってしってますか?って言葉が出てきたんだろうけど、それは異国の地のRの旦那を日本観光にでも連れて行ってやって、これが東京タワーです。 これが富士山ですって説明してるのと同じようなもんだろ。

それでな、何故親子三代かっていうのは長いスパンで幌加内そばというものを伝えていかなければならないんだ。

いや幌加内そばに限らず、そばというものを子供達に残していかなければならないと思うんだ。」

 

「だから親子三代に伝えるような企画なんですか?凄くスケールが壮大ですね」

 

「いやいやスケールなんて小さくていいんだ。

単純に爺さん婆さんがそばを打つ、それをその息子や娘達が手伝いながら孫達が食べる。

ただそれだけで良いから、常にイベントには親子三代を絡めるような事も考えておいて欲しいんだ。

もし仮に孫が居ないとか、子供が居ないという爺さん婆さんが居れば、逆にそういう人達を組み合わせて擬似家族にしても良いじゃないか?

地域全体で子育てが出来る街作りがこれからは必要だと思ってるんだ。

自分達には孫が居ないからとか、僕や私には爺ちゃん婆ちゃんが居ないから・・・・

小さく見れば核家族化が進んでどうのこうのテレビの向こう側では取り上げられたりもしてるけど、

取り上げて考えましょうだけでは何も始まらないんだ。

だからそばを通して地域の三世代が繋がれば幌加内そばは更にその先のもっと先の世代にまで受け継がれていくと思ってる。

もちろんそばだけじゃないよ。

色んな事にも言えることだし、使えるネタだと思ってるんだ。

この時代だからこそ大切な事じゃないだろうか?それが本当の地域のイベントの姿だと思うよ。

イベントがいつか行事になり、行事が伝統や文化を生み、文化が歴史に変わる。

長い道のりかもしれないけど、親子三代何とか繋がれば次の親子三代に繋がると思うんだ。

一つの世代が何かを伝えるのに人生のうちの30年を掛けて次の世代に伝えたとして三世代だと90年~100年は継承される事になるんだ。

100年続けば十分歴史になっていけると思わないか?」

 

「へえ~~~~~なるほど~~~~~!」

 

「まあRはその前に事業計画書をちゃんと描けるようにもっと視野を広げて頑張ってくれ」

 

 

子育て支援だとか何とかって騒いでるけど、銭よりもっと素敵な事がいっぱいあるんだと思う。

親子三代事業。

私はこういう事にこの国の予算を使ってもらいたい。

だとしたら自分達の次の子供達の為の税金ですという言葉にも耳を傾けても良いと思う。

馬鹿な政治家達の資産を全てかき集めたら、親子三代悠々自適に暮らしていける事だろうよ!!

 

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