奥山陽一のコラム

2009/02/20

証明写真の試験

 

先日従業員の写した証明写真を見直してみると、腹が立ってしょうがなくなった。

証明写真こそが我々肖像写真家にとっての原点である事を理解していない。



昔、証明写真の出来上がりに対するイメージをお客様に聞いて歩いた事がある。

綺麗に写らない、影が濃くて暗い、指名手配の写真・・・スピード写真というものが世の中に

出回った頃の話である。

 

士別でも免許書などの写真はカメラやさんやBOXに入って写すものという認識が非常に強く、

うちに来る面接を受ける子達の履歴書の写真なんかも写真選考で落としたくなるくらい酷い

物ばかりだ。

 

20年以上も前からスピード写真の出来にはこだわった。

温度、時間、照明・・・どれだけテストを繰り返したか解らない。

御蔭で撮影前にフイルムを指先で触れると、今日は何分で綺麗に映像が浮かび上がってくるか

までもが勘で解るようになった。

 

お客様がうちに撮影に来られるとビックリされる方が多い。

「写真屋さん免許の写真だよ??記念写真じゃないだけど??こんな照明当てられたことないから

ビックリしちゃったよ。」

「免許の小さな写真でもきちんと綺麗に仕上げさせて頂ける様に心がけております」

・・・・・ 「初めて綺麗に写ってる~~~!!」

こんな声を聞くと嬉しくなる。

 

そんな思いの中で、証明写真というものを大切にしてきたはずであり、その事を従業員達には

伝えてきたはずなのだけど・・・・確かにある程度の照明比などを割り当てているスタジオなので、

誰が写してもそれなりに綺麗に写るようにセッティングしてある。

でも、そこには撮影者の心が写りこんでいないのだ。

ただ写せば良い、それは私の元で勉強する以上許されない事なのだ。

 

「お前達の写した証明写真を全部見直させてもらったけど、正直お話にならない!

何の心もこもっていない上辺だけの写真を夢物語の商品として出す事は許されない!

免許証の写真ならどうぞ事故等無いように・・・・受験用ならどうか合格しますように・・・

もし写真選考が有るとしたなら、せめて写真の良さ、表情の良さだけで通ってくれたら・・・・

いろんな気持ちを持って接するのが接客ではないのか?

接客と証明写真の試験をする事にする。

合格できないものはスタジオには立たせないからその覚悟で見直しすように!」

 

数日後、1日目は会議を開き、これからの課題を与え、これからは其々の目標と担当事業の

事業計画書をきちんと提出してもらい、目標をもって仕事に取り組んでもらう事を審議した。

2日目は午前中に其々が証明写真に対しての準備と練習。

午後から世話になっている会社の社長さんをお客様役兼講師で招き、試験の実施。

 

結果は散々たるものでした。

講師から感じた事、私から感じた事を伝えた。

どちらも同じ意見。

時間内に写真を完成させる事ばかりで、肝心のお客様に対して何の心配りも出来ていない。

さらに話し合いをしながら、もう一度だけ挑戦させることにした。

二度目はまあまあというところだろう。

ここまで出来て当たり前・・・・とりあえずは最低のランクで合格としたが、問題はその心をしっかりと

維持出切るかどうかなのだ。

一歩歩き出して翌日に三歩下がるでは困るのです。

記念写真は全て予約制ですが、証明写真はいつ来られるか解りません。

私が居なくても全員がきちんと接客したなかで、気持ちのこもった証明写真を写して欲しい

ものだと願っています。

 

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